口腔外科

親知らず

親知らずは一番奥の大臼歯のことで、永久歯の中で最後に発育します。
「智歯」とも言われており、20歳前後で生えてくることが多く、上下左右1本ずつで計4本あります。すべての人に生えている訳ではなく、4本揃っている人は大体4割程度と言われています。
現代人は食生活や環境の変化に伴い顔が小さくなっており、親知らずが生えるスペースが足りなくなってしまったことで、歯茎に埋もれたり、斜めに生えてしまうことが少なくありません。

 

親知らずの生え方の違い

親知らずには大きく3つの生え方があります。それぞれの特徴と、それによって引き起こされる症状を確認し、抜歯に進むか参考にしましょう。

まっすぐに生えている親知らず

親知らずが垂直に生えており、痛みや腫れなどの症状も何もない場合、無理に抜歯する必要はありません。
しかし、噛み合わせに問題があったり、虫歯になっていたり、長期的に他の歯にも影響を及ぼす可能性が高い場合には抜歯をお勧めする可能性もあります。
何か違和感を感じることがあれば一度医師に相談してみましょう。

斜めに生えている親知らず

歯の一部しか歯茎から見えていない親知らずで、歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高い状態と言えます。
「半埋伏智歯(はんまいふくちし)」とも呼ばれ、前の歯に干渉してしまうようなトラブルに繋がるケースは少なくありません。

横向きに生えている親知らず

横を向いて歯茎の中に埋まっている親知らずのことで、ほとんどが下顎に存在します。
「水平埋伏智歯(すいへいまいふくちし)」と呼ばれ、抜歯の際には歯茎の切開が必要な為、手術難度が高くなります。斜めに生えているケースと同じく、前の歯に影響を及ぼす場合には抜歯が必要となります。

親知らずによるトラブル

親知らずが斜めに生えていたり、横向きに生えてしまっている場合、抜かずに残しているとトラブルが発生する可能性があります。どんなものがあるか確認しときましょう。

智歯周囲炎

親知らずが少しだけ歯茎から出ている場合、隣の歯や歯茎の間にスペースができ、そこに汚れが溜まることによって歯茎が赤く腫れて炎症を起こします。
抗生物質で炎症を抑えることになりますが、根本的な解決ではない為、再発する可能性が高いです。

虫歯

親知らずは一番奥に生えている為、歯ブラシが届きづらく、汚れが蓄積しやすいです。
日々のケアが充分に行き届かないとプラークを除去できなくなり、虫歯になりやすくなってしまいます。
また、親知らずだけでなく手前の歯を圧迫している場合、隙間からどちらの歯も虫歯になっていきます。

歯並び

斜めに生えた親知らずが手前の歯を押し続けると歯並びが崩れる可能性があります。
その場合、痛みや違和感を覚えることが多く、接触面の虫歯の確立も高くなる為、抜歯が必要です。

 

抜歯

親知らずの抜歯が必要になってしまった場合、どのような処置が施されるのでしょうか。
通常の抜歯と同じように抜歯されると思われがちですが、生え方により全く異なります。まっすぐに生えている場合は麻酔を行った後、歯を骨から脱臼させて抜き出します。比較的処置も早く終わり、皆さんの負担も少ないと思います。
しかし、斜めや横向きに生えている場合は、基本的には歯の一部を削って分割しながら抜くことになります。完全に埋まっているケースでは、最も負担の大きい手術となります。歯茎を切開した後、何度も歯を細かく分割しながら取り出すのです。

  • STEP 1麻酔
    抜歯中に痛みを感じないように麻酔を効かせます。表面麻酔を行い注射の痛みを軽減してから麻酔注射を行います。麻酔が効くまで時間を置きます。
  • STEP 2歯茎の切開
    横向きに生えていたり、歯茎に埋まってしまっている場合は、歯茎を切開して親知らずが見える状態にします。必要に応じて顎の骨を少し削って、抜歯しやすくします。
  • STEP 3抜歯
    まっすぐに生えていない場合は親知らずを分割して、少しずつ取り出します。
  • STEP 4止血・縫合
    切開した歯茎を縫合します。人によっては投薬を行い、止血が確認できれば終了です。後日、抜歯部位の粗油毒を行い、1週間程度で傷口を確認し、問題なければ抜糸します。